「最近、彼女の様子がなんだか変。前よりLINEの返信も遅いし、休日に『友達と買い物』と言って出かけることが増えた...」
友人の悩み相談を聞いていた私は、胸が締め付けられるような感覚を覚えました。5年前、同じような状況で私自身が苦しんだからです。
浮気。その言葉は、恋愛において最も傷つく経験の一つかもしれません。信頼していた相手が別の誰かに心を寄せる。その痛みを経験した人なら、あの底知れぬ不安と怒りと悲しみが入り混じった感情を忘れられないでしょう。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみませんか?浮気をする側の心理とは一体どのようなものなのでしょうか。特に女性が浮気に走るとき、そこにはどんな心の機微があるのでしょう。
この記事では、浮気癖のある女性の特徴や心理、そしてマッチングアプリ時代における浮気の実態について、実体験や周囲から集めた経験談を交えながら掘り下げていきます。浮気をする側、される側、双方の視点から考えることで、より健全な関係を築くヒントが見つかるかもしれません。
心の隙間を埋めるための浮気 - その心理を紐解く
「なぜ浮気をしてしまったのか、自分でもよくわからない」
30代の友人ユミの言葉です。彼女は付き合って3年になる彼氏がいながら、仕事先で知り合った男性と関係を持ってしまったと打ち明けてくれました。
「彼氏のことは本当に大切だし、失いたくない。でも、あの人が私のことを見てくれた瞬間、長い間感じていなかった「特別」という感覚を思い出したの」
彼女の告白は、浮気という行為の複雑さを物語っています。単純に「悪い人だから」「モラルがないから」で片付けられるものではないのです。
浮気に走る女性の心理を理解するには、まず「浮気」という行為が何を埋め合わせようとしているのかを考える必要があります。そこには、現在の関係では満たされない何かがあるのです。
寂しさを埋める - 孤独という名の空洞
「彼は本当に仕事熱心で、休日も仕事のメールをチェックしたり、電話に出たり。私はいつも二の次で...」
友人のサヤカはこう語ります。彼女は交際1年目で浮気に走ってしまった理由をこのように説明しました。相手の男性は彼女の話に耳を傾け、彼女の存在そのものを大切にしてくれる人だったそうです。
寂しさは浮気の大きな引き金になりえます。特に「寂しがり屋」と呼ばれる性格の女性は、パートナーとの時間や注目が不足していると感じると、その空白を別の誰かで埋めようとする傾向があります。
それは物理的な不在だけでなく、精神的な不在も含みます。同じ空間にいても、スマホばかり見ている、会話が続かない、気持ちを共有できないといった状況は、目に見えない「孤独」を生み出します。
この寂しさは必ずしも相手が悪いわけではありません。仕事や他の責任で忙しいこともあるでしょう。しかし、寂しさを抱えた人は時に「自分は愛されていない」「大切にされていない」と感じ、その確証を他の場所に求めてしまうことがあるのです。
私の同僚だった麻衣は、休日もほとんど会えない彼氏との関係に疲れ、マッチングアプリを始めました。最初は「ただ話し相手が欲しかっただけ」と言っていましたが、やがて何人かの男性と実際に会うようになりました。
「彼氏は会えない日でも、LINEですら既読スルーが当たり前。でも、アプリで知り合った人は私の話に興味を持ってくれて、会いたいと言ってくれる。その差が大きすぎたんだよね」
寂しさを抱える女性にとって、自分に関心を持ってくれる人の存在は、乾いた砂漠に降る雨のように魅力的に映るのかもしれません。
承認欲求 - 「私」を見てほしい
「私、本当に魅力的?」「私のことを誰かが好きになってくれるの?」
このような自問自答を繰り返す女性は、承認欲求が強い傾向にあります。承認欲求とは、他者から認められたい、評価されたいという欲求のこと。これが満たされないと、自己肯定感が下がり、不安定な状態になりがちです。
高校の同級生だった友人は、モデルのような容姿を持ちながらも、常に自分の見た目に不安を抱いていました。彼女は交際相手がいても、他の男性からの誘いや褒め言葉に弱く、何度も浮気を繰り返していました。
「彼氏は『かわいい』とか『きれい』って言ってくれなくなったの。でも、新しい人は私のことを『美しい』って言ってくれる。その言葉が欲しかった」
彼女の場合、パートナーからの賞賛や承認が減ると、それを補うように他の男性に目を向けていたのです。これは彼女自身の中に「自分は愛される価値がある」という確信がなかったからかもしれません。
SNSやマッチングアプリの普及により、この承認欲求はより満たされやすくなりました。インスタグラムで投稿した写真に「いいね」が付く、マッチングアプリで多くの男性からメッセージが来る、そんな経験は一時的な自己肯定感の向上につながります。
「アプリで知り合った人から『あなたみたいな人を待っていた』と言われると、もう会わずにはいられなかった」と語るのは、婚活中に浮気をしてしまったという40代女性。彼女の言葉からは、承認欲求が人を動かす強い力を持っていることがわかります。
刺激への渇望 - 新鮮さを求める心
「同じレストラン、同じデートコース、同じ会話...マンネリ化した関係にうんざりしていた」
これは3年間の交際を経て、新しい恋に走った友人の弁です。長い関係の中で、初めのドキドキ感は徐々に薄れていきます。それは自然なことであり、成熟した愛に変わっていくプロセスでもあります。
しかし「飽きっぽい性格」の人にとって、このマンネリ化は耐え難いものになり得ます。新しい刺激、ドキドキ感、恋の初期段階特有の高揚感を求めて、新しい関係に足を踏み入れてしまうのです。
20代後半のカオリは、婚約者がいながら、旅行先で知り合った男性と一夜を共にしました。「あの日だけの思い出にしようと思った。婚約者を愛していないわけじゃない。ただ、あの時感じた緊張感と高揚が欲しかった」と彼女は語ります。
マッチングアプリの普及は、このような「刺激を求める心」をさらに加速させる要因になっているかもしれません。スワイプ一つでいくらでも新しい出会いが得られる環境は、「もっと合う人がいるかも」「もっとときめく相手がいるかも」という気持ちを掻き立てます。
「付き合って2年目くらいから、彼との関係が安定してきて、ドキドキ感がなくなってきた。そんな時、同僚に勧められてマッチングアプリを始めたら...あの初デートのときのドキドキ感を思い出したんだよね」
こう話す女性は、結局元の彼氏との関係を続けながら、裏でアプリで知り合った男性と会っていたそうです。関係が長期化すると、どうしても最初の頃のような高揚感は薄れていきます。それを埋めるのが本来は深まる絆や安心感であるはずなのに、それよりも「刺激」を優先してしまう場合があるのです。
自己肯定感の低さ - 「私でも愛される」という確証
「私なんて」「私ごとき」—このような言葉をよく使う人は、自己肯定感が低い傾向にあります。自分自身に価値を見出せない人は、外部からの評価に依存しがちです。
「彼が私を選んでくれたのは奇跡だと思っていた。だから、別の男性が私に興味を持ってくれたとき、『私でも複数の人に好かれるんだ』という気持ちになってしまった」
これは、長年の恋人を持ちながら浮気をしてしまったという女性の告白です。彼女は自分自身の価値を信じられず、他者からの評価で自分の価値を測ろうとしていました。
自己肯定感の低さは、「この人も私に興味を持ってくれるなら、きっと私には価値があるんだ」という歪んだ論理につながります。さらに、「こんな私を好きだと言ってくれる人を大切にしなければ」という考えから、浮気相手との関係も続けてしまうことがあるのです。
友人のレイカは、婚約者がいながら上司との不適切な関係に陥りました。「彼は私のことを『有能だ』『センスがいい』と褒めてくれた。婚約者は私の外見しか褒めない。その差に惹かれてしまった」と彼女は語ります。
自己肯定感の低さは、時に「こんな私でも愛してくれる人がいるのだから、その人を大切にしなければ」という思いにつながります。本来のパートナーも、浮気相手も、両方を「失いたくない」という気持ちになり、結果的に二重生活を送ることになるのです。
流されやすさ - 環境や周囲の影響
「友達が『彼氏以外の人と会うのも楽しいよ』って言うから、私も試しに...」
環境や友人の影響で浮気に走るケースも少なくありません。特に「流されやすい性格」の人は、周囲の行動や価値観に強く影響を受けます。
友人のマイコは、職場の女子会で「みんな彼氏や夫以外の人と遊んでるよ」という話を聞き、自分も同じように行動し始めました。「周りがやっているなら普通のことなんだ」と思い込み、罪悪感を軽減させていたそうです。
また、SNSやメディアの影響も見逃せません。インスタグラムに投稿される「理想の恋愛」や恋愛リアリティショーなどは、現実の関係に対する不満を増幅させる要因になりえます。
「ドラマや映画を見ていると、いつも主人公は運命の人に出会って、激しい恋に落ちる。でも現実の彼との関係はもっと地味で平凡。そのギャップに悩んでいたところに、ドラマのような出会いが...」
このように語るのは、6年間の交際関係を経て、別の男性に心を奪われた20代後半の女性です。メディアによって作られる「理想の恋愛像」と現実のギャップが、浮気の引き金になることもあるのです。
特に若い世代やSNSの影響を強く受ける人は、「みんなが経験していること」には抵抗感が薄れがちです。「一度きりの人生だから様々な経験をすべき」「若いうちの恋愛は自由でいい」といった価値観が広まると、浮気をすることの心理的ハードルが下がることもあります。
マッチングアプリ時代の浮気 - デジタルの誘惑
スマートフォンを手に取れば、いつでもどこでも新しい出会いの可能性が広がるマッチングアプリ時代。この便利なツールは、恋愛の幅を広げる一方で、浮気の敷居を下げる役割も果たしています。
「恋人には絶対知られない。会わなければバレない」
この安心感が、マッチングアプリでの浮気を後押ししているのかもしれません。実際、私の知人の中にも「彼氏に内緒でマッチングアプリを始めた」という人は少なくありません。
「最初は本気で浮気するつもりはなかった。ただ、彼氏との関係にマンネリを感じていて、自分がまだ『市場価値』があるのか試したかっただけ。でも、想像以上に多くの人からいいねやメッセージをもらえて、嬉しくなって...」
20代女性のこの言葉は、マッチングアプリの持つ「承認欲求を満たす機能」をよく表しています。現実の関係では得られない承認や賞賛を、アプリを通じて手軽に得られることが魅力になっているのです。
また、マッチングアプリの特性上、自分の好みやタイプに合った相手を効率的に見つけられるというメリットもあります。
「彼氏とは趣味が合わなかったけど、アプリで知り合った人は私と同じ音楽が好きで、話が合った。趣味を共有できる喜びを感じて、どんどん深みにはまっていった」
と語るのは、5年間の交際を経て浮気に走ったという女性です。
実際にあった体験談では、ある男性がマッチングアプリで知り合った女性と3ヶ月ほど関係を続けた後、彼女には婚約者がいることを知りました。彼女は「友達と飲み会」や「女子会」と言って彼に会いに来ていたそうです。
「彼女はいつも『早く帰らなきゃ』と言っていた。LINEの通知音も消していて、不思議だなと思っていたけど、まさか婚約者がいるとは...」
彼の言葉からは、マッチングアプリを介した浮気の巧妙さと、デジタル時代のダブルライフの容易さが伺えます。
また別のケースでは、ある女性がマッチングアプリで複数の男性と同時進行でやり取りしていました。「最初は話し相手が欲しかっただけ。でも、複数の人と話しているうちに、どんどん深い関係になっていった」と彼女は言います。
マッチングアプリの普及によって、「浮気」の定義自体も変わりつつあるのかもしれません。物理的な接触がなくても、アプリ上でのやり取りが感情的な浮気につながることも少なくありません。
「彼氏とはLINEで『おはよう』『おやすみ』程度のやり取りなのに、アプリで知り合った人とは毎日何時間もチャットしていた。身体的な関係はなくても、心は既に浮気していたと思う」
このような「感情的浮気」「デジタル浮気」の境界線は曖昧で、当事者ですら「これは浮気なのか」と迷うケースも多いようです。
浮気の先にあるもの - その結末と学び
浮気は一時の快楽や満足をもたらすかもしれませんが、その先にあるものは何でしょうか。浮気の経験者たちは、どのような結末を迎え、何を学んだのでしょうか。
「結局、両方を失った」
これは、彼氏と浮気相手の間で揺れ動いた末、どちらからも見限られてしまったという女性の言葉です。浮気が発覚した時の相手の傷つきや失望は、想像以上に深いものがあります。
「彼の目に涙が浮かんでいるのを見たとき、自分が何をしてしまったのか初めて実感した」と語るのは、浮気が発覚した直後のことを振り返る女性です。多くの場合、浮気は相手だけでなく、自分自身をも深く傷つけることになります。
一方で、浮気を通じて自分自身の問題点に気づいたという声もあります。
「私は常に誰かの愛情や関心を求めていた。それは幼少期からの根深い承認欲求だったんだと、カウンセリングで気づいた」
彼女は浮気をきっかけに自己理解を深め、より健全な関係を築くために努力を始めたそうです。浮気という苦い経験が、自分自身と向き合うきっかけになることもあるのです。
また、現在の関係に何が足りないのかを考えるきっかけになったという声も。
「浮気をして気づいたのは、彼との関係に『会話』が足りなかったということ。浮気相手とは深い話ができて、それが魅力だった。その後、彼氏との関係を見直すことができた」
このように、浮気という行為を通じて見えてくる自分の本当の欲求や、現在の関係の問題点があることも事実です。ただし、それを浮気という手段で知る必要があったのかという点は、考えさせられるところです。
浮気を予防するために - 健全な関係作りのヒント
浮気の心理や原因について探ってきましたが、では浮気を予防するためには何が必要なのでしょうか。もちろん、全ての浮気が予防できるわけではありませんが、より健全な関係を築くためのヒントをいくつか紹介します。
- コミュニケーションを深める
「言わなくても分かるはず」という思い込みは、誤解や不満の原因になります。お互いの気持ちや欲求を素直に伝え合うことで、関係の溝を埋めることができます。
「週に一度は『関係の棚卸し』をするようにしています。お互いの気持ち、不満、良かったことを話し合う時間です」と語るのは、10年以上安定した関係を続けているカップルです。
- 新鮮さを保つ工夫
マンネリ化は多くの関係が直面する課題です。意識的に新しい体験や刺激を取り入れることで、関係の鮮度を保つことができます。
「毎月一回は、お互いが行ったことのない場所に行くというルールを作っています。新しい体験を共有することで、関係も新鮮になります」
- 自己肯定感を高める
自分自身を大切にし、自分の価値を認められる人は、他者からの評価に振り回されにくくなります。
「自分を愛せない人は、他者からの愛も信じられない。まずは自分自身を大切にすることから始めました」と語るのは、過去に浮気癖があったという女性です。
- 境界線を明確にする
「浮気」の定義は人によって異なります。お互いにとって「許せること」「許せないこと」の境界線を話し合っておくことも重要です。
「彼とは付き合い始めの頃に『異性の友人とはどこまでの関係なら大丈夫か』を話し合いました。明確なルールがあると、迷うことが少なくなります」
- 孤独感に向き合う
誰もが時に孤独を感じるものです。その感情を否定せず、健全な方法で向き合うことが大切です。
「寂しさを感じたら、まずはパートナーに正直に伝えるようにしています。解決できないこともありますが、理解してもらえるだけでも違います」
相手が浮気しやすい傾向がある場合 - どう向き合うか
もし、パートナーが前述したような浮気しやすい特徴を持っている場合、どのように関係を築いていけばよいのでしょうか。
まず大切なのは、「改善させよう」という姿勢ではなく、「理解しよう」という姿勢です。相手の持つ不安や欲求の根本を理解することで、より深い絆を築くことができるかもしれません。
「彼女は承認欲求が強くて、僕以外の男性からも注目されたがる傾向がありました。でも、それは幼少期から親の愛情が不足していたからだと知り、彼女の気持ちを理解できるようになりました」
と語るのは、浮気癖のあるパートナーと長い関係を築いてきた男性です。
もちろん、全ての浮気が許されるわけではありません。最終的には、お互いが納得できる関係の形を見つけることが大切です。それは時に、別れを選ぶことも含まれるかもしれません。
「何度も裏切られた末、別れを選びました。それは自分を大切にするための決断でした」という言葉からは、自分自身の幸せを優先することの大切さが伝わってきます。
結びに - 浮気の向こう側にあるもの
浮気という行為の背後には、様々な心理や事情が隠れています。寂しさ、承認欲求、刺激への渇望、自己肯定感の低さ、周囲の影響...これらの要素が複雑に絡み合い、人を浮気へと導くことがあります。
現代のデジタル社会、特にマッチングアプリの普及は、浮気の機会をより身近なものにしました。スマートフォン一つで、無限の出会いの可能性が広がる時代だからこそ、より自覚的な選択が求められているのかもしれません。
浮気は、する側もされる側も深く傷つける行為です。しかし同時に、その経験から学び、より成熟した関係や自己理解へとつながる可能性も秘めています。