誰にでも優しい男と恋愛・思わせぶりな態度にモヤモヤが止まらない

「優しい人だね」って周りから言われる彼。確かにその通りなんです。でも、その優しさが私を苦しめているなんて、誰が想像するでしょうか。

最初は素敵だと思っていたんです。困っている人を見過ごせない性格、誰に対しても分け隔てなく接する態度、気配りができる細やかさ。付き合い始めた頃は「こんなに良い人と出会えて幸せ」って本気で思っていました。友達にも自慢したくらいです。

でも、日が経つにつれて、何か違和感を覚えるようになったんですよね。彼の優しさって、本当に私だけに向けられているものなんだろうか。そんな疑問が頭をもたげてくるんです。

あれは確か、付き合って三ヶ月くらいの時でした。二人でカフェでゆっくり話している時間。久しぶりのデートで、私は彼との時間を心から楽しんでいたんです。そこへ、彼のスマホに通知が。見ると、女性の名前。

「ちょっとごめん」って彼は言って、メッセージを返し始めました。一通だけならいいんです。でも、そこから十分以上、やり取りが続くんですよね。私は目の前にいるのに、彼の視線はずっとスマホ。その間、私はただコーヒーカップを持ったまま、待っているしかありませんでした。

「誰?」って聞いたら、「職場の同僚。ちょっと相談されてて」って。別にそれ自体は問題じゃないんです。でも、デート中にそこまで対応する必要があるのかな。私との時間より、その人の相談の方が大切なのかな。そう思ってしまう自分がいました。

もっと驚いたのは、彼のSNSの使い方です。インスタを見ていたら、彼が知り合いの女性たちの投稿に、次々とハートマークをつけているのを発見したんです。別に一人二人じゃないんですよね。もう片っ端から、という感じで。

「これって、どういう意味なの?」って聞いたら、彼は不思議そうな顔をするんです。「別に普通に『いいね』してるだけだよ。みんな頑張ってる投稿だから応援してるの」って。確かに、それは優しい行為なのかもしれません。でも、彼女である私は、なんだか特別じゃない感じがして、寂しくなったんです。

嫉妬している自分が嫌になりました。器が小さいって思われそうで、最初は何も言えなかったんです。でも、その感情は日に日に大きくなっていきました。

ある日の飲み会が、決定打になりました。会社の同期たちとの集まりに、私も一緒に参加したんです。そこで目にした光景は、今でも忘れられません。

彼の隣に座った女性が、酔って少しふらついた時のこと。彼はすぐに立ち上がって、彼女の肩を支えたんです。「大丈夫?水飲む?」って、本当に優しく声をかけて。その後も、その女性のグラスが空になる度に、お茶を注いであげたり、料理を取り分けてあげたり。

彼女がいるのに、そこまでする?って思いました。私も同じテーブルにいるのに、彼はその女性への気配りで忙しそうで。まるで私の存在が見えていないみたいでした。

帰り道、我慢できなくなって言ったんです。「さっきの、やりすぎじゃない?」って。彼は驚いた顔をして、「え、何が?」って聞き返してきました。「困っている人を助けるのは当たり前じゃない?君だって助けてほしい時あるでしょ?」

確かに、論理的にはそうかもしれません。でも、感情はそう簡単に割り切れないんですよね。彼女の前で、他の女性にそこまで気を遣う必要があるのか。それとも、私が過敏に反応しすぎているだけなのか。自分でもわからなくなってきました。

もっと複雑な気持ちになったのは、職場の後輩女性のエピソードです。ある日、彼が嬉しそうに話してきたんです。「今日ね、〇〇ちゃんが風邪で休んでたから、仕事終わりに栄養ドリンク届けてきたんだ」って。

一瞬、耳を疑いました。彼女の家まで?それって、普通の上司と部下の関係でやることなんでしょうか。しかも、その話し方が何だか自慢げで、まるで良いことをした満足感に浸っているみたいでした。

「それって、ちょっとやりすぎじゃない?本人の彼氏とか家族がすることだと思うけど」って言ったら、彼は真顔になりました。「人として当然のことをしただけだよ。困っている人を放っておけないのは、人間として当たり前でしょ」

当たり前。彼はよくその言葉を使います。でも、その「当たり前」の基準が、私とは全く違うんですよね。私にとっては、パートナーがいる人間が異性の家まで行くのは「当たり前」じゃないんです。境界線を越えている行為だと感じるんです。

SNSも相変わらずでした。女性の友達と二人きりで撮った写真を投稿するんです。しかも頻繁に。キャプションには「〇〇ちゃんと久しぶりに会えた!楽しかった!」なんて書いてあって。

気になってその女性のアカウントを見たら、彼とのDMのやり取りのスクリーンショットを上げていたんです。しかも深夜の時間帯。内容は見えませんでしたが、絵文字がたくさん使われていて、親密な雰囲気が伝わってきました。

「ただの友達だから」って彼は言います。でも、彼女からしたらどうなんでしょう。深夜にDMのやり取りをして、二人で写真を撮って、それを「ただの友達」で片付けられるんでしょうか。

実際、その不安は的中しました。共通の友達グループで集まった時、彼がある女性に「君に合いそうな男性、紹介してあげるよ」って言っていたんです。その場にいた全員に対してじゃなくて、その女性だけに。そして、連絡先を交換していました。

数日後、その女性から私に連絡が来たんです。「ちょっと相談があるんだけど、彼って私に気があるのかな?」って。私は彼女の彼女なのに、まさかそんな相談を受けるとは思いませんでした。

「いや、付き合ってるんだけど」って答えたら、彼女はびっくりしていました。「え、でもあんなに優しくしてくれるから、てっきり独身だと思ってた」って。その言葉が、胸に刺さりました。

彼の優しさは、周りに誤解を与えているんです。本人は「誰にでも平等に」接しているつもりかもしれませんが、受け取る側はそうは思わない。特に、彼に好意を持ってしまう女性も出てくるわけです。

でも、彼はそれに気づいていないんですよね。いや、気づこうとしていないのかもしれません。「誰にでも優しい自分」というアイデンティティに酔っている部分があるんじゃないかって、最近は思うようになりました。

「私だけを特別に扱ってほしい」って言ったことがあります。すると彼は、困った顔をしました。「それって、他の人に冷たくしろってこと?僕にはできないよ。それは人として間違ってると思う」

違うんです。他の人に冷たくしてほしいわけじゃない。ただ、私には「特別な優しさ」を向けてほしいだけなんです。でも、彼にはその違いが理解できないようでした。

このまま付き合い続けていいのか、正直わからなくなってきました。彼は本当に良い人なんです。性格も優しいし、嘘もつかない。でも、その優しさが「私だけのもの」じゃない。それが、こんなにも辛いなんて思いませんでした。

友達に相談したら、二つの意見に分かれました。「そんな優しい彼、手放すのもったいないよ」という人と、「それはちゃんと境界線を守れてないよね」という人。どちらも正しい気がして、余計に混乱しました。

深夜、一人で考えました。私が本当に求めているものは何なのか。完璧な人間なんていないことは、頭ではわかっています。でも、少なくともパートナーには、私を最優先にしてほしい。デート中は私だけを見てほしい。他の女性に誤解を与えるような行動は控えてほしい。

それって、わがままなんでしょうか。多くの人は「嫉妬深い」「束縛が強い」って言うかもしれません。でも、これが私の本音なんです。

彼と真剣に話し合う決心をしました。「あなたの優しさは素敵だと思う。でも、私との関係では、こういう行動は控えてほしい」って、具体的に伝えようと思ったんです。

リストを作りました。深夜の異性とのメッセージ交換、デート中の他の女性への長時間の対応、プライベートな悩み相談の受け入れ、不必要な身体接触。これらは、私にとって許容できる範囲を超えているんだと。

話し合いの日、私は勇気を出して全部伝えました。彼は最初、戸惑っていました。でも、私の目を見て、真剣に聞いてくれました。「君がそんなに辛い思いをしていたなんて、気づかなかった」って。

でも、結局変わらなかったんです。「気をつける」とは言ってくれましたが、根本的な行動パターンは同じでした。職場の女性への過度な気遣い、SNSでの思わせぶりな態度、境界線の曖昧さ。

ある時、はっきりわかったんです。これは彼の本質なんだと。誰にでも優しくすることが、彼のアイデンティティそのものなんだと。それを変えることは、彼という人間を変えることになる。

私は選択を迫られました。彼のそういう部分を受け入れて付き合い続けるか、自分の求める関係性を諦めないか。どちらも簡単な選択じゃありませんでした。

最終的に、私は自分の気持ちを優先することにしました。「誰にでも優しい完璧な君子」より、「多少欠点があっても、私を最優先にしてくれる男性」と一緒にいたいって。それが私の本音だったから。

別れを切り出した時、彼は言いました。「僕は何も悪いことしてないのに」って。確かに、彼は浮気もしていないし、嘘もついていない。でも、私の心は満たされなかった。それだけなんです。

今思えば、最初から相性が合わなかったのかもしれません。彼が求める「誰にでも平等な関係性」と、私が求める「特別な二人の関係性」。この違いは、どちらが正しいとか間違っているとかじゃなくて、単に価値観の違いなんだと思います。

女性として、パートナーに特別扱いされたいって思うのは、当たり前の感情じゃないでしょうか。デート中はスマホを置いて私だけを見てほしい、他の女性には一定の距離を保ってほしい、私との約束を最優先にしてほしい。

それは過度な要求なんでしょうか。いいえ、私はそうは思いません。愛する人を特別に扱うこと、それが恋愛関係の本質だと思うんです。

誰にでも優しい男性を好きになってしまった人へ。あなたの感じるモヤモヤは、決して間違っていません。特別でいたいと思う気持ちは、恋愛において自然な欲求です。境界線を引くことは、わがままではなく、健全な関係を築くための必要条件なんです。

もし彼がその境界線を理解してくれないなら、それは相性の問題として考えていいと思います。無理に自分の感情を抑え込んで、「理解ある彼女」を演じ続ける必要はありません。

自分の気持ちに正直になること。それが、長い目で見て、自分自身を幸せにする道だと思います。誰にでも優しい彼の優しさに疲れたなら、あなただけに優しい人を探してもいいんです。それは決して、贅沢な望みじゃないから。