恋愛で人の不幸を願うと自分に返ってくるって本当?

別れた恋人の幸せな近況を見て、思わず「うまくいかなければいいのに」と願ってしまったことはありませんか?そんな黒い感情を抱いてしまう自分に罪悪感を覚えつつも、どこか心の奥でその願いを手放せずにいる。実は私も、そんな複雑な感情に長い間悩まされた一人でした。

今振り返ってみると、あの時期の私は本当に醜い心の持ち主だったと思います。でも同時に、そんな経験があったからこそ今の私があるのだとも感じています。人の不幸を願うという負の感情が、最終的に自分自身にどんな影響を与えるのか。そして真の幸せとは何なのか。そんな大切なことを、痛みを伴いながらも学ぶことができたのです。

元カレとの別れは、決して穏やかなものではありませんでした。付き合って二年、同棲まで始めていた私たちでしたが、価値観の違いや将来への考え方の相違から、徐々に関係が悪化していったのです。最後は激しい口論の末、彼の方から別れを切り出されました。その時の私の心境といったら、まさに地獄のようでした。

別れた直後は、悲しみよりも怒りの方が強かったように思います。「なんで私ばかりがこんな目に遭うの?」「あんなに尽くしたのに、なんで分かってもらえないの?」そんな被害者意識に満ちた感情が、日に日に膨らんでいきました。そして、その怒りの矛先は次第に彼への恨みへと変わっていったのです。

最初のうちは、彼のことを思い出すだけで胸が苦しくて、SNSを見ることもできませんでした。でも、人間の心理とは不思議なもので、時間が経つにつれて逆に彼の動向が気になって仕方なくなったのです。元気にやっているのか、新しい恋人はできたのか、仕事はうまくいっているのか。そんなことばかり考えている自分がいました。

そして、ある日のことです。共通の友人のSNSを通じて、彼に新しい彼女ができたことを知りました。その写真には、満面の笑みを浮かべる彼と、綺麗で若い女性が写っていました。二人は本当に幸せそうで、見ているだけで私の心は嫉妬と怒りで真っ黒に染まりました。

その日から、私の日課は彼のSNSチェックになりました。新しい彼女との写真が更新されるたびに、私の心は暗い感情に支配されていきました。「あの女性はきっと彼の本性を知らない」「そのうち彼の身勝手さに気づいて愛想を尽かすはず」「絶対に長続きしない」そんな呪いのような言葉を、心の中で何度も繰り返していました。

その頃の私は、友人との会話でも愚痴ばかりこぼしていました。「元カレが新しい彼女と幸せそうにしているのが許せない」「あの女性が羨ましい」「きっとすぐに別れると思う」そんな話ばかりしていたので、友人たちも次第に私を避けるようになっていきました。でも当時の私は、そんな周囲の変化にも気づかないほど、負の感情に囚われていたのです。

毎日のように彼の不幸を願い続けていた私に、ある日転機が訪れました。共通の友人から聞いた一言が、私の心に複雑な感情を呼び起こしたのです。「元カレ君、最近仕事で大きな失敗をして、かなり落ち込んでいるらしいよ。新しい彼女との関係もちょっとギクシャクしているみたい」

その瞬間、私の心に湧き上がったのは、恥ずかしながら安堵と喜びの感情でした。「やっぱり私の予想通りだった」「いい気味だ」「所詮あの程度の男だったのよ」そんな醜い感情が心を支配しました。まるで自分の呪いが現実になったかのような、歪んだ満足感すら覚えていました。

しかし、その夜のことです。一人になって冷静になると、なぜか心が空虚で満たされない気持ちになりました。元カレの不幸を願い続けてきた私の気持ちが現実になったというのに、なぜ私は幸せを感じられないのでしょうか。むしろ、自分の心の醜さに嫌気がさして、深い自己嫌悪に陥ってしまいました。

そんな複雑な心境の中にいた私に、さらなる試練が待ち受けていました。友人の紹介で知り合った男性と交際を始めたのですが、なんとその男性には既に別の恋人がいたことが発覚したのです。私は完全に二股をかけられていたのでした。

その事実を知った時の衝撃は、言葉では表現できないほどでした。元カレへの恨みに囚われている間に、私は自分自身を大切にすることを忘れていました。新しい恋愛に対しても前向きになれず、相手を見極める冷静さも失っていたのです。その結果として、こんな酷い裏切りに遭ってしまったのでした。

裏切りが発覚した夜、私は一人で泣き続けました。元カレのことを恨み続けていた自分、新しい恋愛でも騙されてしまった自分、そして誰も信じられなくなってしまった自分。すべてが情けなくて、惨めで、どうしようもなく孤独でした。「もう恋愛なんてしたくない」「男性なんて信用できない」そんな絶望的な気持ちで心が支配されていました。

そんな私を見かねて声をかけてくれたのが、なんと元カレでした。共通の友人を通じて私の状況を知った彼が、心配してわざわざ連絡をくれたのです。最初は彼からの連絡を受け取ることに躊躇しましたが、あまりにも辛い状況だった私は、結局彼に会うことにしました。

久しぶりに会った彼は、以前よりも大人っぽく、落ち着いた印象でした。確かに友人から聞いていた通り、仕事での失敗や恋愛の悩みを抱えているようでしたが、それでも私のことを心配して時間を作ってくれたのです。その優しさに、私は改めて彼の人間性の良さを思い出しました。

カフェで向かい合って座りながら、私たちは久しぶりにゆっくりと話をしました。私が最近の出来事を話すと、彼は真剣に聞いてくれました。そして、自分の失敗談も交えながら、こんなことを言ってくれたのです。

「僕も最近、いろいろうまくいかないことが多くてね。でも、人の不幸を願ったり、過去の恋愛を引きずっていても、結局は自分が苦しくなるだけだということに気づいたんだ。君も、僕のことを恨み続けているより、自分の幸せを考えた方がいいよ。君にはもっといい恋愛をする資格があるし、能力もあるはずだから」

その言葉を聞いた瞬間、私の心に雷が落ちたような衝撃が走りました。彼の不幸を願い続けていた私に対して、彼は私の幸せを願ってくれていたのです。そして、私が彼への恨みに囚われている間に失っていたものの大きさに、ようやく気づくことができました。

彼との会話を通じて、私は自分がいかに後ろ向きな時間を過ごしていたかを痛感しました。誰かの不幸を願うことに時間とエネルギーを費やしている間、私は自分自身の成長や幸せのために何もしていませんでした。新しい恋愛においても、過去の恨みが心の奥にあったために、相手を素直に信じることができず、結果として見極めを誤ってしまったのです。

その日から、私の考え方は少しずつ変わり始めました。元カレへの恨みを手放すことは簡単ではありませんでしたが、彼の言葉を思い出しながら、前向きな気持ちを取り戻そうと努力しました。まず、SNSで彼の動向をチェックする習慣をやめました。そして、自分自身の成長や楽しみに時間を使うようにしたのです。

読書をしたり、新しい趣味を始めたり、友人との時間を大切にしたり。そんな日々を過ごしているうちに、私の心は次第に軽やかになっていきました。そして不思議なことに、私が前向きな気持ちを取り戻すにつれて、周囲の人たちとの関係も改善していったのです。

数ヶ月後、私は素敵な男性と出会いました。今度は、過去の恨みに囚われることなく、純粋な気持ちでその人と向き合うことができました。相手の言葉や行動を疑いの目で見るのではなく、信頼関係を築くことに集中したのです。その結果、とても健全で温かい恋愛関係を築くことができました。

現在の私と元カレは、良い友人関係を維持しています。たまに連絡を取り合い、お互いの近況を報告し合う仲になりました。彼も新しい恋愛で幸せを見つけているようで、私も心から彼の幸せを願えるようになりました。あの時の恨みが嘘のように、今では彼の幸せが私にとっても嬉しいことになっているのです。

この経験を通じて、私は人生の大切な法則を学びました。それは、他人の不幸を願うエネルギーは必ず自分に返ってくるということです。私が元カレの不幸を願い続けていた時期は、私自身も不幸な出来事に見舞われました。しかし、他人の幸せを心から願えるようになった時、私にも自然と良いことが巡ってくるようになったのです。

恋愛において、元恋人への複雑な感情を抱くことは自然なことです。しかし、その感情に長期間囚われ続けることは、結局自分自身を傷つけることになります。過去の恋愛から学ぶべきことを学んだら、恨みや憎しみは手放して、前向きな気持ちで新しい恋愛に向かう。それが、真の幸せへの道なのだと思います。

今では、困難な状況に直面している人を見ると、心から「その人に良いことがありますように」と願うようになりました。そうすることで、不思議と私自身の心も軽やかになり、良い出来事が舞い込んでくることが多くなったように感じています。これが、愛のエネルギーの循環というものなのかもしれません。

人の幸せを願うことができるようになると、自分自身も幸せになれる。そして、その幸せなエネルギーがまた周囲の人々に良い影響を与える。そんな正のスパイラルを作り出すことができれば、恋愛だけでなく人生全体がより豊かなものになっていくのだと、私は確信しています。